人権講話「広い海へ出てみよう」(月曜集会にて)
- 公開日
- 2010/12/06
- 更新日
- 2011/12/12
校長メッセージ
今日は人権について考えてほしいと思います。
12月4日〜10日までの1週間は人権週間です。人権週間は、1948年12月10日に国際連合で世界人権宣言が採択されたこと記念して、人権尊重の意識を世界中の人々がもってもらうために定められた強調週間です。
人権について特に、皆さんに気をつけてほしいことは差別や偏見であり、それが引き起こすいじめです。今日は特にいじめについて、自分の行動をふりかえってほしいと考え、一つのメッセージを紹介します。メッセージはさかなクンが朝日新聞に載せた体験談です。皆さんはさかなクンを知っていますか。魚の帽子をかぶって、魚の話をする方です。口癖は「ギョギョ」ですね。さなかクンは東京海洋大学の先生をしています。
タイトルは「広い海へ出てみよう」です。朗読しますので、今の自分と置き換えて聞いてください。
「広い海へ出てみよう」(朝日新聞2006年12月2日掲載)
中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。
でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めたのです。けがしてかわいそうで、そのさかなを別の水槽に入れました。すると残ったメジナは別の1匹をいじめ始めました。助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。
広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。同じ場所にすみ、同じエサを食べる、同じ種類同士です。
中学時代のいじめも、小さな部活動でおきました。ぼくは、いじめる子たちに「なんで?」ときけませんでした。でも仲間はずれにされた子と、よくさかなつりに行きました。学校から離れて、海岸で一緒に糸をたれているだけで、その子はほっとした表情になっていました。話をきいてあげたり、励ましたりできなかったけれど、だれかが隣にいるだけで安心できたのかもしれません。
ぼくは変わりものですが、大自然のなか、さかなに夢中になっていたらいやなことも忘れます。大切な友だちができる時期、小さなカゴの中でだれかをいじめたり、悩んでいたりしても楽しい思い出は残りません。外には楽しいことがたくさんあるのにもったいないですよ。広い空の下、広い海へ出てみましょう。
さかなクンのメッセージはどうでしたか。メッセージの最後に、大切な友達ができる時期、小さなかごの中で、だれかをいじめたり、悩んだりしても楽しい思い出は残りませんと言っていましたね。
小さなかごは、クラス、部活動、学年と置き換えて考えることができますね。いじめは絶対にしてはいけないこと。人をいじめることでストレスを解消するなんて相手の人権を傷つけるひどいことです。
小さなかごに閉じこもっていないで、みんなで楽しい思い出をつくることができるように、皆さん一人一人が心がけていきましょう。12月6日月曜集会にて
*さかなクンの体験談は下のホームページから引用しました。他にもいじめに関するメッセージが掲載されています。是非、読んでみてください。
http://www.asahi.com/edu/ijime/