学校日記

「人権講話」12月7日朝会講話

公開日
2009/12/07
更新日
2009/12/10

校長メッセージ

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 12月4日〜10日までの1週間は人権週間です。人権週間は、1948年12月10日に国際連合で世界人権宣言が採択さてたこと記念して定めされた強調週間です。
 人権は、人が生まれながらにもっている社会的権利と言われています。「だれに対しても差別や偏見をもつことなく公正,公平に接することや、法やきまりを守り,自分や他の人の権利を大切にする」ことが人権を守ることになります。

 特に、皆さんに気をつけてほしいことは偏見やいじめです。皆さんに偏見やいじめについて自分の行動を見つめてほしいと思い、平成20年度全国中学生人権作文コンテストの中学生の部で文部科学大臣奨励賞を受賞した生徒の作文を紹介します。
 作文の内容は、障害をもった弟がいじめられたことが書かれています。障害ある弟がいじめにあった主人公、そしてそのお父さんお母さんの気持ちが作文に書かれています。もし、みなさんは自分の兄弟がいじめにあったらどんな気持ちになりますか、どんな行動をしますか。ましてお父さんお母さんはどんな気持ちになると思いますか。そんな気持ちを想像しながら、作文を聞いて下さい。作文は長いので一部省略して読みます。


             日々の生活の中で育つ私
                 高知県・黒潮町立佐賀中学校2年 弘瀬ああと

 私の家族は,父母と弟の四人です。両親は小学校の先生をしていて,家ではいつも楽しそうに学校の話をしています。弟は,音楽やダンスが大好きな五年生です。しかし,障害があり,あまりしゃべらないので,学校であった事を家で話すような事はありません。

 今年,弟が学校で同級生の友達にズボンをおろされ,まわりの子がそれを見て笑うという事がありました。弟の学校の先生達が夕方慌てて家に来て,母としばらく話をしていました。先生達はショックを受けていた様子で,謝ったり説明したり熱心に話をしていました。
 私は,隣の部屋に居たので,ついつい途中から話に聞き入ってしまったのですが,母は時々涙声になっていました。私は,話を聞きながら,腹が立っていました。同じ学校で四年以上も一緒に過ごしてきて,「人を大切にする勉強」もずっとしてきたはずなのに,なぜそんな事が起こるのかと思いました。弟は「やめて。」と言わないけど,いやだったはずです。担任の先生にも学童の先生にも,家族の誰にも弟はその事を一言も言いませんでした。今でも何も言いません。

 母は,弟の先生達に,「つくるにとっても家族にとってもとても残念です。ですが,つくるが何をされていたかを先生に伝えてくれた女の子が学級にいたという事実が嬉しいです。そして,こうして一生懸命になってくれる先生達が周りにいることも幸せです。ありがとうございます。」と,怒らず静かに言いました。

 私は,怒らない母,お礼を言う母が,その時は理解できませんでした。数日後,父に対して,つくるにいやな事をした子とその家族が謝りに来ました。普段は泣かない父が,涙をいっぱいためてその子に言いました。
「よう来てくれたね。ありがとう。これからは,人のいやがる事をせんようにしてや。」そして,母は,「つくるは,迷惑かける事が多いろ。ごめんね。でも,こんな事があったら次からは味方になってね。助けてあげてね。」
と,お礼やお願いをしました。
 謝りに来たお母さんは丁寧に頭を下げていました。私にもショックを受けていることがわかりました。つくるの同級生は真剣な表情で,深く反省していることが伝わってきました。お父さんが来ている子もいました。皆,とても良い人達でした。

 父と母は,今回の事がとても衝撃的でくやしかったと思います。そして,本当は胸がえぐられる程つらかったろうし,腹も立っているはずです。しかし,私とは違った視点で受け止め,今後の事を考えて行動していました。

 両親は,いつも笑っていて楽しそうだけど,笑顔の奥には深い悲しみや苦しみがあります。私は,自分も,弟のクラスの女の子をお手本に生活したいと思いました。そして,将来の夢である学校の先生になれた時,弟のクラスの女の子のように不合理に気づく事ができる子,勇気を出して「いけない。」と声をあげられる子を自分の学級で,育てたいです。

 今,私は弟のズボンを下げた子のこともそれを笑った子のことも,その家族のことも嫌いじゃないし,いい人だろうと考えています。私の家族は,実によく笑うし楽しいです。今までもこれからもきっとそうです。私は,これから幾度となく挫折すると思うけど,泣いても怒っても落ち込んでも,その後は笑顔に戻れる様な生き方をしたいです。人のしんどさに気がつき,間違ったら素直に謝れる前向きな生き方をしたいです。


 どうでしたか、主人公は「弟のズボンを下げた子のこともそれを笑った子のことも,その家族のことも嫌いじゃないし,いい人だろうと考えています」と言っています。
人のつらさやしんどさ、そういった気持ちを感じ取れる人は、相手を許す気持ちや相手を差別したりいじめたりしない人へと成長すると思います。


 上記の作文は人権擁護局のホームページを参考にしました。また、作文を紹介及びホームページに掲載するにあたり名古屋法務局(半田市局)に了解を得ています。